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力 学
- Mechanics -

第一章 力学の基礎

1-1 運動学








 


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   1-1 運動学


 力学においてまず必要なのは、物体の運動の記述方法である。 ある物体の運動方法を追跡・調査するためには、その物体の位置を正確に指定するもものが必要であり、そこで座標を導入する。 (但し、物体を質点として考える。)

 いま、質点という概念を導入したが、これは質量のみを有し、大きさを持たない仮想的な物体であり、当面はこの概念を用いて議論を進める。確かに、この世に存在する物体には大きさがあるが、物事のはじめは「単純化」である。単純化・理想化されたものを考えた後に、複雑化した方が、人間の脳には理解しやすいはず…である。

 さて、ここより数学を用いていこう。


■位置

 質点の位置は、先ほど設定された座標系に対し、位置ベクトル r(t) 、 座標 ( x(t), y(t), z(t) ) を用いて
 
と表される。一般に物理においてベクトルは太字の文字で表記するのが普通である。
i, j, k は x, y, z 方向の単位ベクトル)


 ここで、運動を観測する際に 「時間という独立変数によって物体がどのように位置を変えるか」 という観点で論じるため、 r, x, y, z は時間 t の関数としている。



■速度

 速度(velocity)とは、単位時間あたりに物体が移動した変位を表すベクトルであり、その絶対値は物体の移動した距離、方向は物体の運動方向の接線に一致する。

 この定義より、ある短い時間 Δt の間の平均速度 v-

と表される。


しかし、より詳細に運動を記述するために Δt → 0 の極限を考えて、



これが、ある時刻 t における速度である。

ベクトルの成分を用いれば


である。


■加速度

 加速度(accelaration)とは、速度変化の時間に対する割合(時間変化率)である。 これもベクトルである。

 運動を記述する際に何故速度だけでは不十分なのだろうか? それは、力学における 「状態の変化」 とは 「速度の変化」 がおきていることであり、 そこでその変化の割合を表現するものが必要だからである。

※「状態が変化しない」 = 「v(速度)が一定」 = 「静止or等速度直線運動」


 加速度 a(t) は速度のときと同様に


と表現される。


■加速度から位置を速度を導出

 以上、位置、速度、加速度なる物理量を定義し、それらの関係を得ることができた。 それを用いることで以下のように、

  ●加速度から(速度変化の導出を経て)速度、

  ●速度から(変位の導出を経て)位置

を導出することが可能である。




また、


右辺:
速度変化





 ここで v(0)、a(0) を初期値と呼ぶ。 式から明らかなとおり、初期値は定数である。 この定数さえ判明してしまえば 「いつ」 「どこで」 「どんな速度で」 運動しているかを把握することができる。

 なお、左上の積分では敢えて t と t' を区別している。t は積分の上限を表す一方、 t' は r や v が時間の関数であり、時間積分を実行施すことを表すためのもおである。以後、特に必要がある場合を除いて、ことわりなしに t' と t を同一の文字 t で表すことにする。


<<参考>>

「初期条件を与えることにより、その物体を完璧に予測することができる」という考えを拡張した、 「初期条件さえ与えられれば、全宇宙の運命を完全に予測することができる」 あるいは、 「現在の全宇宙のすべてを知り、ゆえにその運命も知る‘ラプラスの悪魔’なる存在を想定できる」 という思想を 「ニュートンの決定論」 という。

 つまりは現時点での全宇宙のあらゆる存在の 「位置と速度」 は確かに決まっているものと考えられるので、従って 「全宇宙のあらゆる存在の未来はすでに(偶然ではなく、必然的に)決定している」 という考えである。

 しかし、カオスや量子力学の登場により、現在ではこの考えは完全に否定されている。


右辺:変位



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