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 物理科学(物理学)
  - Physics -


  分野: 科学史
  種類: 自然科学、近代科学




■概要
 コペルニクスに始まり、ティコ・ブラーエ、ヨハネス・ケプラー、ガリレオ・ガリレイを経、アイザック・ニュートンによって達成された科学革命の下で発祥し、今なお発展し続ける自然科学の一分野。必要かつ適切な定義を用いて様々な自然現象を観測し、その背後にある法則を見出すだけでなく、それらを統一的にまとめる原理を唱えて体系化する学問である。

 近代以前のアリストテレス自然観(目的論的自然観)から脱却することによって創始された物理学は、非常に強力であると言われる。その所以は理論と観測の両輪によって学問運営がなされる事と、その数学的手法にある。理論と観測は互いに他を補完する役割を担い、互いの独り歩きを抑制する。また、物理学において採用されてきた幾何学や解析学をはじめとする数理科学は、一定の知性を備えた生物(ホモ・サピエンス)の共同体内であれば、思想や信条に関わらず理解・共有することができる(客観性の充実)。これらの効果的な学問構成が物理学のアイデンティティであると言えよう。一方で、そのあまりにも包括的な学問性格から、物理学が他の自然科学(特に生物科学)を完全に支配しているという思想を持つ人々がおり、しばしば物理学至上主義、物理学帝国主義と揶揄される。

 物理学は「古典物理学」と「現代物理学」に大別される。古典物理学とは、私たち人間が感知しうる巨視的(マクロ)なスケールの現象を議論する理論体系である。一方、19世紀末から微視的(ミクロ)なスケールにおいて、古典物理学の領域を超越した現象が確認されはじめたことにより、それらを説明するための新たな物理学理論が登場する。量子力学である。更に、非常に高いエネルギー状態における物理現象を説明する相対性理論が誕生したのである。この量子力学と相対性理論を現代物理学と呼んでいる。ここで、注意しなければならないことがある。「古典物理学」という呼称は、古典物理学が古臭く、現代においてはあたかも重要でないような印象を与える。だが、その考えは全くの誤りである。事実、古典物理学は今日においても物理学の根幹を支える重要なものなのである。「古典」は英語でclassicであるが、英英辞典は”considered important and of high quality, with a value that lasts for a long time” と定義している。また、その原義はclass(最高級の)なのである。

 ところで、先述の通り、物理学における客観性は非常に強力であるが、その客観性が「人間の視点から見た」という一種の主観性を脱却していないことを頭の片隅に置いておく必要がある。確かに近代科学の建設は目的論的自然観から機械論的自然観に移行することでなしとげられ、客観性が重視されてきた。しかし、物理学は、我々人間の目を通した自然に対する共通解釈なのであるから、自然の真実と完全に合致しているという保証はどこにもないし、人間が確かめることも不可能である。だが少なくとも、物理学は非常に良い近似で自然の真実を記述できているのである。



 解説: 松山


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